2020年02月25日
バイオリンに限らないと思いますが、特に弾き手の状態が音に反映される楽器です。
生徒さんのバイオリンを選ぶのに工房で色々試し引きした時の事です。
いつもお世話になっていた工房に、とても良い弾き手でもある職人さんがいます。
彼はとても柔らかい暖かな音色で弾くので「良いね!そんな丸い感じの音、好きだな。」と言うと
「自分はシャープな音が好きで、バイオリンを選ぶ時はシャープだな反応が良いなと思ったのを選ぶんだけど、弾いているうちにぼけた音になってきちゃうんだ。」と照れた様に笑いました。ぼけた、というのは謙遜だと思いますが彼が弾くと、どのランクのバイオリンからも彼の声の様な、あたたかい音がします。
「私は、自分の線の細さが嫌いで、出来るだけ丸い暖かい音の楽器を探すんだけど、弾いているうちに何だかとんがってきちゃうんだ。」と言うと「結局その人の音になるんだよね。」と一緒に笑いました。
私は、大分昔にとても衝撃的な体験を通して内側から一新された事があります。その後聴きにいらして下さった古い友人が、
「なんか違う人みたい。どうしたの?バイオリン変えた?」
と驚かれました。確かに内なる声が出て来る楽器なのです。